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「源義経黄金伝説」 飛鳥京香・山田企画事務所           (山田企画事務所)

義経黄金伝説■第30回

義経黄金伝説■第30回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/


第4章 一一八六年 足利の荘・御矢山(みさやま)

■6 一一八六年文治2年 足利の荘・御矢山(みさやま)

下野の国足利の荘に季節風が吹き荒れ、御矢山から、突風となり、吹き降ろして
きた。
 動けずにいる西行の足元に,何かがころころと、転がって来た。西行は、それ
を足でとらまえ、蹴り出す。
 その物体は、砂金に気をとれている太郎左の顔に激突する。馬から落ちる太
郎左。次いで次郎左の顔にも。
「西行、貴様」
起き上がったが、怒りが二人の顔を朱に染めている。
「私が、京の蹴鞠の一番手であるとしらなんだか」
 佐藤家は、京都の芸能蹴鞠の使い手が多い。西行の祖父は特に有名であっ
た。

 「くそうう、西行、食らえ、我ら黒田悪党が腕のさえを見よ」
 太郎左と、次郎左が、二人が心合わせ、左右に同時に動く。
 兄弟の体を合わせ、ねらい違わず相手を倒しす二人の技「双剣の構え」であ
る。体の動きの同調は、さすがは兄弟である。
寸分の狂いもない。二人が一人のように、羅卒天のように四本の腕が動いてい
る。
「我らが、双剣の構え破れるかのう」
 二人は西行に走りより、向かいあい、左右同時に刀を振り下ろす。
 一瞬、たじろぐ西行。

 が、急に大男があらわれた。太郎左、次郎左の両腕を諸手で後ろからつか
む。
 「うぐつ」
「貴様、何者」
 言う間もなく、二人の体は宙に浮いている。
 地面にたたきつけられた体の上に、その太い樹の幹とも見える両足が鳩尾を
踏み根でいる。
 さらに、鳥海の背面から逆落としをかけている。
 て、見る間もなく盗賊三人をなぎ倒している。
突然吹いた「からっ風」のように現れている。
残りの黒田悪党のの手下たち十名程は、逃げ去っていた。

 祭壇中央の広場には太郎左、次郎左、鳥海の三人が倒れている。
「弁慶殿、手助け有り難うござる」
西行が、その愚風の男にお礼を言った。
「おお、ちょうどよい塩梅でござった」
「儂も、年には勝てませんな」
西行は頭をかいている。
「義経様が、安全な場所まで、後をつけよと申されたのが、ちょうど、よろ
しゅうござった」
弁慶であった。弁慶が、土産にとして京都から贈り物、蹴鞠数個を、西行に
向けて送りだしていた。
「白河の関をこえ、ここまでついてきた価値があったというもの。頼朝殿と
の戦いではさすがに姿を見せる事はできませなんだが、」
 静が弁慶に抱きついている。
「おお、弁慶殿、よう、生きていらっしゃったか…」
「おお静殿、よくご無事でここまで。吉野で別れて。もういくたりになります
か。ここではひどい目にあわれましたのう」

「弁慶殿、義経様の和子様、殺されました」
涙ながらに静は言う。
「何!」弁慶は以外な言葉に驚く。
「義経殿が輪子が、頼朝によって、」
大粒の涙が、大地にしたたる、
「義経殿に如何につかえれば、、良いのか」
「う」
静も同じように顔をしづませていた。


「かわいそうな方々じゃ。時代が悪いのかもしれんのう」
西行は、黒田悪党三人の遺骸に対して片手拝みをしている。
「すまぬ。天下静謐、明日の日本のためじゃ、堪忍されよ」
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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